
キャンピロバクターは、人や動物に下痢を起こす細菌の一種ですが、人への病原性が明らかとなったのは1970年代でした。しかし、一旦その病原性が明らかとなると、それまで原因不明とされてきた食中毒の多くが実はキャンピロバクターが原因であったことが判明しました。ここ数年間の患者発生数は、年間約2000人です。

1.病原体
キャンピロバクターのうち、Campylobacter jejuniおよびC. coliが食中毒の原因菌として厚生労働省から指定されています。発育するためには酸素濃度が3〜15%という特殊な環境が必要なため、酸素を21%含む通常の空気中では発育することが出来ずに死滅します。顕微鏡で観察すると、特徴的なコルク栓抜き状の運動が認められます。
2.感染経路
キャンピロバクター感染症は人への感染経路により、汚染された食品を食べることによって発生する食中毒と、感染している動物と接触することによって発生する人獣共通感染症に大別されます。食中毒の原因食品としては、肉類であることが多く、特に鶏肉はキャンピロバクターの汚染が激しいことが報告されています。しかし、普通に加熱調理すればキャンピロバクターは死滅するので、加熱が不十分にならないように注意することや生肉を食べないことで感染を防ぐことが出来ます。人獣共通感染症の原因としては、下痢をしている子犬から感染したことが報告されています。下痢をしている子犬の3/4からキャンピロバクターが検出されるという報告もあり、下痢をしている子犬と接触した後は、手洗いを十分に行うといったことを心がけてください。
3.人での症状
下痢、腹痛、発熱が主な症状です。小児の場合は血便をすることも多いです。またごくまれにですが、キャンピロバクター症に感染したことがきっかけとなって運動神経障害によって手足が麻痺するギラン・バレー症候群を発症する人がいることが明らかとなっています。
4.動物での症状
キャンピロバクターは、牛、豚、鶏などの産業動物だけでなく、犬、猫などペットとして飼育される動物にも保菌されています。保菌している動物の多くは無症状ですが、子犬、子猫では下痢を起こすことが報告されています。
5.キャンピロバクターの感染力
キャンピロバクターの感染力は他の食中毒を起こす細菌に比べて強く、数百個を食べただけで感染すると言われています。しかし、伝染病のように人から人に感染することは滅多にありません。それはキャンピロバクターが空気中で死滅しやすいためです。キャンピロバクター症で下痢をしている人や動物と接触しても、手洗いなどの通常の衛生措置で感染を防ぐことが可能です。
6.治療
人の治療では抗生物質が使用されます。しかし最近では、薬剤耐性を獲得しているキャンピロバクターが増加しており、薬剤感受性を検査したうえで使用することが必要です。動物での治療は対症療法が中心となりますので、獣医師の診察を受けてください。
◆狂犬病◆高病原性鳥インフルエンザ
◆ウエストナイル熱(脳炎)◆重症急性呼吸器症候群(SARS)
◆パスツレラ症◆猫ひっかき病◆ブルセラ病
◆レプトスピラ症 ◆真菌感染症
◆
◆エキノコックス症 ◆回虫症
◆ツツガムシ病◆オウム病◆Q熱◆疥癬(かいせん)
◆キャンピロバクター症 ◆クリプトスポリジウム症
◆野兎病 ◆サルモネラ症
◆土壌病(炭疽、破傷風)
|