
クリプトスポリジウムは胞子虫類に属する原虫で、世界各地で人や様々な動物に下痢を引き起こす腸管感染症です。1993年米国ミルウォーキーにおいて、水道水を介して40万人以上の集団感染が報告され、国内では1994年に神奈川県平塚市の雑居ビルで460人が感染し、1996年には埼玉県越生町で町営水道水を汚染源として8800人の発生がありました。そのため水系感染症の病原体として、公衆衛生の分野で特に注目されています。汚染諸国への渡航者の下痢の原因の一つです。また免疫機能が低下している場合、重症になりがちです。感染症法において第5類に分類されています。

1.病原体
胞子虫類の真コクシジウム目に属し、哺乳類への感染は主にCryptosporidium parvumです。C.parvumは腸管粘膜上皮で卵に相当するオーシスト(接合子嚢)を形成し、感染力を有するオーシストを便とともに排泄します。オーシストには厚い壁があるため、塩素やオゾンに対し強い耐性があるものの、加熱や乾燥には弱い特徴があります。そのため、プールや飲料水に使用される通常の塩素消毒には耐性を示します。感染形式は動物の場合、感染動物との接触やオーシストに汚染された場所での経口感染によります。人では、主に汚染された飲食物を介してオーシストの経口で感染します。
2.症状
動物により症状は異なりますが、牛・馬では下痢、脱水、食欲低下。豚・猫ではほとんど無症状です。人でも水様性下痢、脱水、腹痛等であるが通常1-2週間で治まります。一般的に成人より小児の方が、また再感染より初感染の方の重い症状がみられます。
3.診断・治療
検便によるオーシストの検出によります。治療においては、効果的な方法はなく対症療法です。
4.予防
動物においては、大量にオーシストが糞便に排泄されることから隔離し、飼育舎の徹底的な洗浄と乾燥が必要であります。
人においては、特に重要なのは土や動物に接触した後の手洗いが大切です。また糞便で汚染されている可能性のある河川等での水浴を避け、さらに衛生状態の悪い地域では安全な飲料水の確保や生鮮食品に注意します。地域での集団感染では、飲み水は沸騰させてから使うことや加熱調理されたもの以外は摂取しないよう注意する必要があります。
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クリプトスポリジウム(微分干渉顕微鏡・500倍)
(画像提供者:埼玉県衛生研究所臨床微生物担当
山本徳栄主任研究員) |
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