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回虫症

 本題に入る前に人の回虫の現状について簡単に触れておきます。現在、世界で人回虫の感染者は14億人、回虫に原因する腸閉塞などで年間6万人が死亡していると推測されています。日本国内での感染率は、昭和30〜40年ぐらいまでは40%程度と言われていました。現在では1%未満と考えられていますが増加傾向にあるようです。人回虫については人間のお医者様、特に小児科のお医者様にお尋ね下さい。

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1. 回虫とは?
 分類学上では線虫類に位置し、体長は人の回虫で30cm位、犬で15cm位。クラゲやサナダ虫よりは高等でミミズよりは下等な生き物といったところです。
 人には人回虫があるように動物それぞれに適応した回虫が存在しています。回虫は小腸の中でブラブラしていて栄養分のピンをはねているだけです。同じようにありふれた寄生虫の鉤虫や鞭虫のように腸に食いついて、という事はありませんので大型の寄生虫のわりには実害が少ないとされています。適切な組み合わせが守られ大量に寄生されない限りは比較的穏健な寄生虫と言えると思います。有効かつ安全な虫下しもありますので対応も簡単です。やっかいな問題はこの適切な組み合わせが守られなかった時に生じます。

2.どのように感染するのか?
 それぞれの動物の便と共に対外へ排出されたそれぞれの動物の回虫卵は、次の宿主への感染能力を育てる為の数日間を外界で過ごし、感染子虫と呼ばれる子虫を中に持つ回虫の卵となります。この段階に達する事のできた卵が、何らかの経路で口に入る事により感染が成立します。口から飲み込まれ小腸にたどり着いた回虫卵から出てきた子虫は、小腸の壁にもぐりこみます。サイズがサイズですので、腸を食い破るというような恐ろしいイメージは持たないで下さい。小腸の壁にもぐりこんだ子虫は、血管やリンパ管の中に入り、その流れにそって体内に散って行きます。この後、成長しながら体内を移動し、最終的には肺を通過し気管内に入り痰にまぎれて口へ、そして飲み込まれ食道を下って最終目的地である小腸に戻って産卵を開始します。

 このような口からの感染が主な感染経路とされています。しかしながら、この経路以外にも親犬の体内で胎盤を通過し出産される前に仔犬の体内に入り込み、出産後に肺・気管と移動して後は同じように痰と一緒に飲み込まれ小腸に到達する。親犬や親猫の母乳に混じって子犬・子猫の体内に入り込む。あるいは、ネズミや昆虫に飲み込まれその体内で卵から抜け出しネズミや昆虫の体内にもぐりこんで子虫の段階で成長を止めていた回虫が、そのネズミや昆虫が捕食される事で本来の宿主にたどり着き成長を再開するなど、様々な経路で感染を成立させているとされています。また、小腸に到達し卵から出てきた子虫が腸の壁にもぐりこみ成長して腸内に戻ってくるだけで体内を移動するという事をしないという回虫もいます。器用に状況・状況に応じた成長サイクルを使いこなしていると言えます。

3.人が感染した時の症状は?
 犬や猫あるいはアライグマの回虫といった本来は人に取り込まれたくない回虫が誤って人に取り込まれてしまった時、人の健康に障害を与える可能性が生じます。これを回虫移行症と呼びます。回虫が人の体内に侵入した時、本来のライフ・スタイルにしたがって子虫は人の小腸の壁にもぐりこみ移動を始めますが、人回虫以外の回虫では不適切な宿主の体内に入ってしまったため、人回虫のように小腸に戻ってくる事ができず体内のどこかで行き詰まってしまいます。肝臓や肺あるいは脳であれ、止まってしまった場所に応じて人の健康に害を与える心配が出てきます。実際には、肝臓や肺と言った予備能力の大きな臓器では、何事も無かったかのように過ぎていってしまいます。特異な例として眼球に侵入した場合の眼球移行症、中枢神経系に侵入した場合の脳脊髄線虫症と呼ばれるものがあります。眼球移行症については、本当に数少ないですが国内でも報告があります。失明という重大な結果がありますので、公衆衛生上の問題として考えていただきたいと思います。最近話題になっているので取り上げますが、アライグマの回虫については、人に迷い込んでしまった時の傾向がまだ把握されていません。動物実験あるいはアメリカでの実例などから、脳に留まりやすい傾向があるというのが現状です。

4.治療法は?
 小腸以外に留まっている回虫の幼虫に対する虫下しという意味での有効な薬剤による治療法はありません。幸いな事に脳と目を除いては、人回虫以外の回虫の子虫にまぎれ込まれても人の健康上の問題とする必要は、今のところ日本国内では無さそうです。

5.予防法は?
 回虫は産卵数の多い寄生虫として指折り、一日に10万単位の数で産卵するとされています。宿主とは適当に折り合いをつけながら大量の卵をばらまく。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、と言うのが彼らの選択した戦略です。また、バラまかれた卵は乾燥にも薬品にも抵抗し外界での処理は困難です。
動物を飼い始めたなら、その動物の健康状態に応じて極力早い段階での虫下しが望ましいと同時に現状では大人の動物の定期的な虫下しをお願いするしかありません。人もそうですが寄生虫は回虫だけではありません。的外れの薬をとりあえず与えてみる、というのは余り賢い選択とは言えません。どの虫下しをどう使うかは必ずお近くの獣医師にご相談下さい。また、排泄されたばかりの便に混ざっている回虫卵にはまだ感染できる能力がありませんので、便の処理は手早く行って下さい。手洗いの励行・清潔な調理を心がけるといった日常的な注意も大変重要です。

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