
野兎病とは、まれに「のうさぎびょう」と読ませている文章も目にしますが「やとびょう」と読むのが一般的なようです。北半球の北米、欧州、アジア、日本でその発生が報告されており南半球の南米、アフリカ、豪州ではその発生の報告がないという人獣共通感染症です。
日本国内での野兎病は東北地方全域と関東の一部(千葉県)が発生の多い地域とされ、国内最後の人での発生は1999年の千葉県の一例でした。

1.病原体
野兎病の原因となる野兎病菌には、最初にこの細菌がこの病気の原因菌であるとして分離・確認された米国カリフォルニア州の一郡名であるTulareにちなんでFrancisella tularensisという学名が与えられています。
野兎病菌は比較的小型な細菌で外形はさまざま。診断に利用される通常の細菌培地ではほとんど増殖することができず、また適切な培地が選択されても増殖しづらいため病原体の確認による診断は困難とされています。また、この細菌は生きた細胞の中に侵入することができ免疫、薬剤に抵抗することができます。
2.どのように感染するのか
実際の発生例の大部分が捕獲したウサギの解体、剥皮、調理などに際して菌を含んだ血液、臓器、生肉などに直接触れることで感染しているようです。しかしながら野兎病菌は水、土壌、動物の死体、皮の中で数週間は感染可能なためダニ、アブなど吸血性節足動物による噛み傷を介しての感染、菌をもっているダニをつぶした指からの感染、菌の混じったホコリを吸引しての感染、生水からの感染という例もありました。野兎病菌は無傷な健康な皮膚、粘膜からも体内に侵入可能なためさまざまな感染ルートを持つと言えるでしょう。
人から人への感染は確認されていませんがが可能性は否定できませんので注意は必要でしょう。
3.動物が感染したときの症状は
ウサギ、ヒツジがこの病気にかかりやすいようでウサギや子ヒツジでは敗血症をおこして死亡。ヒツジではリンパ節の腫れや下痢、発熱そして流産などが見られています。
4.人が感染したときの症状は
最初は感冒に似た症状で悪寒、頭痛、発熱などに始まり、菌が侵入した場所に関連するリンパ節が腫れてきて固くなったり潰瘍ができてきたりします。ここでのリンパ節の変化はペストのそれに似ているようです。
5.治療法は
診断が確定できれば適切な薬剤があるので、野外での活動歴のような診断に必要な情報を医師に提供できることが重要になります。前述したような理由から実験室的検査では時間がかかることが予想される。またこの菌は細胞内に侵入できるので長期にわたる投薬が必要とされています。
6.予防法は
キャンプなどで野山に出かける時はダニなどに接しないよう服装・足元などに注意し、生水は飲まないといったことが大事です。
野外で調理をしたい人は材料だけではなくナイフ、包丁、まな板などの用具の衛生管理にも注意して下さい。実際にはこの病気の実例のほとんどがウサギの狩猟にかかわりのあったものですので、本当にワイルドなキャンプを望まれる方は特にご注意下さい。
◆狂犬病◆高病原性鳥インフルエンザ
◆ウエストナイル熱(脳炎)◆重症急性呼吸器症候群(SARS)
◆パスツレラ症◆猫ひっかき病◆ブルセラ病
◆レプトスピラ症 ◆真菌感染症
◆
◆エキノコックス症 ◆回虫症
◆ツツガムシ病◆オウム病◆Q熱◆疥癬(かいせん)
◆キャンピロバクター症 ◆クリプトスポリジウム症
◆野兎病 ◆サルモネラ症
◆土壌病(炭疽、破傷風)
|