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狂犬病予防

■狂犬病ウィルスとは?

イラスト 狂犬病ウイルスは、ラブドウイルス科のリッサウィルスに属し、ほぼ世界中に存在するウイルスです。すべての哺乳類に感染し、発病した動物をほぼ100%死亡させる大変恐ろしいウイルスです。通常多くのウイルスは、自然宿主(感染しても症状を示さないで、ウイルスと共存している哺乳類)または、ベクター(昆虫などの節足動物)を介して終宿主(そのウイルスが最終的に感染する)に感染する形態を取ります。
 しかし狂犬病は、発症した終宿主から終宿主に感染します。終宿主は、すべての哺乳類です。終宿主に侵入すると発病し抗体(抵抗力)はできますが、前述したように、すべて終宿主は死亡します。

■発生状況

 日本では昭和31年を最後に、狂犬病の発生は見られておりません。
しかし、下の図をご覧下さい。WHOが発表した、狂犬病の世界分布図です。
【厚生労働省健康局結核感染症課(2016年6月28日作成)】
赤い部分が発生国を示します。世界に目を向けると発生がみられない国は、日本を含め10余国しかありません。
それは決して、発展途上国だけではなく、西ヨーロッパやアメリカなどの先進国にでも見られる病気なのです。また、人の死亡報告は、年間35000〜50000件にのぼっています。


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■人への感染源

 人への感染源となる主な動物を地域別に上げると、アジア、アフリカ、中南米では犬、西ヨーロッパや北米では、野生動物となっています。また、アフリカでは、イエローマングース、南北米のコウモリ、北アジアからヨーロッパのキツネなども主な感染源になっています。

■感染経路

 発症する2〜3日前から狂犬病ウイルスは、脳や唾液腺の中で増殖するため、動物に咬まれて感染する経路が、その大半を占めます。これ以外の例としては、コウモリなどからのエアロゾル(唾液などを飛ばす)感染や、珍しいものでは人から人への角膜移植などで感染した例もあります。

■潜伏期間

 潜伏期間(感染してから発症するまで)は、一様ではなく、一般的に、脳から遠い部位を咬まれたほうが、近い部位に比べて、潜伏期間は長くなり、発症率も低くなる傾向にあるようです。犬では、約80%が10日から80日ですが、長いと1年以上かかる場合もあります。人では、約60%が1〜3ヶ月ですが、短いものでは10日以内、長い場合では7年という報告もあります。

■感染すると

イラスト 人も動物も、狂犬病に感染した動物に咬まれると、ウイルスはその咬傷部位の筋肉内でまず増殖し、つづいて運動及び知覚神経末端に侵入します。ここからウイルスは、上行性に、末梢神経、脊髄へと移動し、やがて脳にまで達します。脳に達したウイルスは爆発的に増殖します。増殖したウイルスは、神経を下行して全身に広がり、他の部位でも増殖し、唾液、血液や角膜中に多量に見られるようになると言われています。この頃になると、さまざまな神経障害が起こってきます。人では、風の刺激を怖がる、恐風症症状や、喉頭筋の麻痺により、水を飲むとひどく苦しむため、水を怖がる、恐水症症状などが発現します。やがて麻痺がおき、さらに昏睡状態に入り、呼吸麻痺によって100%死に至ります。
動物では、凶暴になり、何にでも咬みつき、牙は折れ、口の中が傷だらけになります。その後、麻痺は、脳から遠い後肢から始まり、協調性運動失調(左右、前後、上下などのバランスをとって運動することができない。たとえば、歩行など)がおこり、次第に全身に広がります。また、中には、興奮の時期が見られず、いきなり麻痺が始まる場合があります。
最終的には、前述した人と同じく、昏睡状態から100%死に至ります。

■日本に狂犬病ウイルスは、入ってくるか?

 このように恐ろしい狂犬病ですが、はたして今後日本で流行する可能性は、ないのでしょうか。
狂犬病ウイルスが日本に持ち込まれる可能性として考えられるのは、海外で、狂犬病罹患動物に咬まれて帰国した人が、発症する場合(1970年にネパールから帰国した人が、帰国後発症した例があります)と、海外から輸入または密輸された動物が発症する場合です。これに対して、何か対策はないのでしょうか。
前者に対しては、旅行前に、しかるべき方法でワクチン接種を済ましておくことです。タイ赤十字研究所の、シャナローン博士は、私が訪問した際に、「タイは、狂犬病の発生国です。この国に観光に来るのに狂犬病のワクチンを受けてこないことは、狂犬病の怖さを知らないからです。」と、話してくれました。では後者ではどうでしょう。国内に持ち込まれる哺乳動物すべてに充分な検疫を行なうことです。しかし、海外から犬、ネコ、アライグマ、キツネ、スカンクを日本国内に持ち込むためには、14日間から180日間の検疫が必要ですが、実際に行なわれている検疫のほとんどが、180日間ではなく、14日間です。
 14日間という短い検疫期間では、感染している動物の見逃しはないか不安です。また、それ以上に懸念されるのが、家畜を除いて法的に検疫を受ける必要がないとされ、無検疫で国内に持ち込まれる動物。さらに、法的に検疫を義務付けられている動物も含む哺乳動物の密輸により、狂犬病ウイルスを持ち込む可能性があることです。
いずれにせよ、狂犬病が国内に入る可能性は充分あるといえます。

■日本での流行を阻止する方法

前述したように、狂犬病ウイルスが日本に持ち込まれる可能性を否定できない以上、いかにして流行を防ぐか、その予防策を考え実行しておく必要があるのです。
流行には、二つの型があります。
イラストその一つが、「森林型」と呼ばれ野生動物間で伝播される狂犬病で、予防策が難しいのですが、日本では野生動物が比較的小型の種が多いことと、野生動物自体少ないため蔓延したことはありません。
もう一つが、「都市型」です。昭和31年の最後の発生までの間、幾度となく流行を繰り返してきた、犬を中心に人のいる環境下で伝播される狂犬病です。
「都市型」は、発生が見られても蔓延しないようにコントロールすることは充分可能です。
そのことを教えてくれるのが、かつて日本で狂犬病の撲滅に成功した実例とアジアにおける「都市型」の狂犬病対策の実例です。
 アジアで蔓延している「都市型」狂犬病の主役は、やはり犬です。ネコの場合は、この感染環の中で他の哺乳類に感染させる媒介主になる要素は、犬に対して2%以下の発生といわれています(タイでの発生も、まさにこの数字です)。
このことから、具体的には犬のコントロールだけで、発生しても蔓延しないようにすることが充分可能であると考えられるのです。そのためにはどうしたらよいのでしょうか。最善策は、日本国内にいるすべての犬を、ワクチンで予防することです。たとえ日本の国内にいる犬すべてに、狂犬病予防法で義務付けられている年1回のワクチンを接種しても、接種したすべての犬に、1年間予防する力(抗体価)をつけておくのは、残念ですが難しいと思われます。
しかし、たとえ単年度で1年間の間、予防する力(抗体価)をつけられなくても、毎年接種することにより、確実にこの効果はあげられます。都市型の狂犬病を予防するには、国内で飼育されている室内犬も含めたすべての犬の最低50%以上が、有効な予防する力(抗体価)を持っていることが必要です。
この数が50%をはるかに上回れば、仮に狂犬病罹患動物が国内に侵入したとしても、国内での蔓延は防げるでしょう。

■努力しましょう

 日本における予防注射頭数は、残念ながら50%以下だと推定されています(登録業務に協力的でない飼い主も多いので、実態把握さえできていないのが現状です)。
予防注射頭数が50%以下だということは、有効な予防する力(抗体価)を保持している犬は、はたしてどれぐらいいるのでしょうか。こんな状態の中に、狂犬病が侵入してきたとしたら・・・・・日本に、再び国内感染の狂犬病が発生する日があるかも知れません。そうならないためにも、獣医師は、より多くの犬に接種するよう呼びかけているのです。皆さんの愛犬は、接種していますか?知り合いの愛犬はどうですか?接種していない愛犬が少しでも減るように努力しましょう。

【警告】

世界保健機構(WHO)は警告しています。「感染症の脅威に対して安全な国は世界に一つもない。」。狂犬病が国内で発生した場合の混乱は、狂牛病の比ではないはずです。
哺乳類共通の大敵、狂犬病!日本での蔓延は、断固阻止しましょう!!


千葉県獣医師会 京葉地域「狂犬病予防について
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